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杭抜き孔の埋戻し不良はなぜ起きる?見えない孔内で起きる4つの現象と品質管理の考え方

杭抜き後の埋戻しは、地盤工事の中でも特に品質の確認が難しい工種です。理由は単純で、施工する対象が地中の杭孔であり、埋め戻した後に中を直接見ることができないからです。盛土や一般の埋戻しのように締固めの状態を確認できないため、品質は「どの材料を、どんな方法で、どう管理して施工したか」に大きく依存します。

今回は杭孔の埋戻しを「不可視施工」という観点から整理し、埋戻し不良が起きるメカニズムと、品質を確保するための考え方を解説します。埋戻しの重要性そのものについては「杭引抜き孔の埋戻しの重要性」もあわせてご覧ください。

杭抜き孔の内部で起きていること ― 4つの不確定要素

杭を引き抜いた直後の孔の中は、地上の施工とは大きく異なる環境にあります。代表的な要因が次の4つです。

杭抜き孔の断面図。孔壁の局所崩落、地下水の流入、残留泥水、土質の変化が地上から見えない状態を示す
図1:杭抜き直後の孔内。地上からは見えない場所で複数の現象が同時に起きている
  • 地下水の流入:孔壁から地下水が入り込み、充填材の配合を変えてしまう
  • 孔壁の局所崩落:引抜き時に孔壁の土が崩れ、孔の途中を塞ぐことがある
  • 残留泥水:地下水やケーシング掘削時の水が孔底に溜まり、ほとんどの杭孔では泥水が存在する
  • 土質の層状変化:深さ方向に砂・シルト・粘土が変わり、孔壁の安定性も深さで変わる

これらは現場ごとに条件が異なり、事前の地盤調査だけでは完全には把握できません。「設計どおりの条件が孔内で常に成立するとは限らない」という前提に立つことが、埋戻し品質を考える出発点になります。

流動性材料が孔内で受ける影響

流動化処理土やセメントミルクは自己充填性を持ち、複雑な形状にも流れ込むため、施工速度の点で優れた材料です。一方で、液体または半液体の状態で打設されるため、施工中に次のような影響を受けます。

  • 地下水・泥水との混合による配合(水セメント比)の変化 → 強度不足・軟弱部の発生
  • 粗粒分の沈降による材料分離 → 深さ方向に強度が不均一になる
  • 孔壁崩落土の混入 → 設計配合と実際の状態が乖離する
  • 上部からの注入では崩落部より下に充填材が届かず、空洞が残る
孔上部から充填材を注入した場合に崩落部の下に空洞が残るイメージと、BFS工法で最深部から締め固めるイメージの比較図
図2:孔上部からの注入では崩落部の下が空洞のまま残ることがある。BFS工法は最深部から締め固めながら埋め戻す

これらは材料そのものの欠点というより、地中施工に特有の現象です。だからこそ、流動性材料を使う場合は注入後の攪拌や孔底からの注入が推奨されていますが、それでも最終的な充填状態を地上から確認することはできません。

「投入量=完全充填」ではない ― 間接管理の限界

杭孔埋戻しの品質管理で厄介なのは、「計算どおりの量を投入した」ことが「孔全体が充填された」ことを意味しない点です。孔内で材料分離や局所的な空隙が生じても、地上からは分かりません。そのため一般には、次のような間接的な管理が行われています。

  • 打設量(投入量)の管理
  • 配合試験の結果
  • フロー値の管理
  • 施工記録の管理

しかし、これらはいずれも「施工プロセス」の管理であって、「最終状態」を確認するものではありません。ここに不可視施工の本質的な難しさがあります。

段階的に締め固めて確認する、という管理思想

一方、土砂を段階的に投入して締め固める方法では、投入した土量や高さ、締固めの回数・時間を深度ごとに記録でき、施工の過程を逐次確認しやすい特徴があります。締固めによる管理は古典的な方法ですが、「今どこまで、どの程度締め固まったか」を施工中に把握できる点で合理的です。

流動性材料の間接管理項目と、段階的締固めで施工過程を確認する管理項目の比較図
図3:間接管理(流動性材料)と逐次確認(段階的締固め)の違い

ここで重要なのは材料の優劣ではなく、「施工管理の方法との相性」です。流動性材料は迅速施工に適し、段階的な締固めは確認性に優れる。それぞれの特性を理解したうえで、現場条件に応じて選択することが求められます。近年の施工管理では「理論上の性能」よりも「現場条件下で再現できる品質」を重視する傾向が強まっており、これは性能規定型設計の考え方とも一致します。

埋戻し不良が引き起こすトラブル

埋戻し不良は、施工後しばらくしてから次のような形で顕在化します。

  • 周辺地盤の沈下・舗装の陥没(「なぜ道路陥没は起きるのか?」参照)
  • 新設杭の施工時に杭が傾斜する、支持力が確保できない、工期が遅延する
  • 隣接する構造物・埋設管への影響

杭抜き跡の埋戻しに起因するトラブルは過去30年近くにわたり数多く発生しており、新築工事側での手戻りにつながるため、解体工事の段階で確実な埋戻しを行うことが近年ますます重視されています。

BFS工法による品質確保 ― 最深部から締め固め、崩落孔・埋戻し不良にも対応

当社の「BFS工法」は、天然土を投入しながら専用ドリルを杭孔の最深部まで貫入し、掘削時とは逆回転させて鉛直・水平方向に強力に締め固める埋戻し工法です。不可視施工という課題に対して、次の特徴があります。

  • 杭孔の深さに沿った均一な埋戻し:最深部から順に締め固めるため、材料分離による強度のばらつきが生じない
  • 施工過程を確認しながら進められる:締固めが限界に達するとドリルが反力で上昇するため、深度ごとの締固め完了を施工中に把握できる
  • 崩落した杭孔でも施工可能:専用ドリルを逆回転させながら貫入し、地盤を水平方向に転圧しつつ最深部まで到達する
  • 埋戻し不良の修復:土砂投入のみ、セメントミルク、流動化処理土による既存の埋戻し不良にも適用できる
  • 地下水がある場合も適用可能(ただし地下に流水がある地盤は除く)

天然土による埋戻し技術「BFS工法」

BFS工法 施工写真

既存杭引抜き孔などの狭隘な空間に天然土を投入し、専用ドリルで強力に締め固めることで、天然の地盤により近い高品質な埋戻しを実現する工法です。

性能評価試験では、原地盤のN値3〜6に対して埋戻し地盤の換算N値2〜4を確認し、1か月後も沈下は発生していません。施工には杭抜き機などのアースオーガー搭載機と油圧ショベルのみを使用し、1日あたり概ね100mの埋戻しが可能です。

BFS工法の詳細はこちら

まとめ

杭抜き後の埋戻しは地中で完結する不可視施工であり、その品質は材料性能と施工管理手法の組合せで決まります。材料や工法を選ぶ際は、次の4つの視点を意識してみてください。

  • 現場条件(地下水・崩落・泥水)への適応性
  • 施工管理の確実性
  • 施工中に品質を確認できるか
  • 将来的な地盤の安定性

杭抜き跡の埋戻し不良でお困りの方、崩落した杭孔の処理にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。既存の埋戻し不良の修復にも対応しています。

お問い合わせはこちら(TEL 03-3851-8555)

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