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コラム

セメント系固化材の問題点

セメントイメージ写真

セメント系固化材は、地盤改良や埋戻しなど多くの土木工事に使用されています。セメントは強度を増幅させるためにとても便利な材料ですが、良い点ばかりとは限りません。今回は、セメント系固化材について解説していくとともに、当社の埋戻し技術「BFS工法」をご紹介します。

 

セメント系固化材とは

セメント

セメント系固化材とは、セメントをベースとし、土を固めるための成分を配合した安定材です。粉体状の固化材と現地土を混合、攪拌させ、水和反応によるセメントの硬化を利用し、地盤を補強します。軟弱地盤の改良や泥土の固化など、多くの土木工事で使用されています。セメント系固化材と現地土を混合させたものをソイルセメントと呼びます。

 

土木工事で使用される固化材にはセメント系固化材の他にも、石灰系固化材があります。石灰系固化材とは、石灰をベースとし、各種添加材を配合した安定材です。セメントに比べると強度と恒久性に劣りますが、無機質、無害で環境負荷が小さいことが特徴です。また、ロームや腐植土などセメントが固化しにくい土質においても固化可能である点から、多くの土木工事に使用されています。

 

セメント系固化材のデメリット

地盤の強度増加を叶える材料として、様々な現場で使用されているセメント系固化材ですが、セメント成分を含む固化材の使用にはいくつかのデメリットがあります。

 

CO₂排出

CO2排出

建設業において、セメントを含む建設資材の製造によるCO₂排出量は多くの割合を占め、資材の改善が求められています。なかでも、セメントは製造過程で大量のCO₂を排出します。1tのセメントを製造するのに約770kgのCO₂を排出すると言われており、排出量削減に向けてセメント量の少ないコンクリートの開発など様々な取り組みがされています(引用:一般社団法人 日本建設業連合会)。

地盤のアルカリ化

地盤汚染

セメントはアルカリ性のため、セメント成分を配合した固化材を使用すると、地盤はアルカリ化します。アルカリ化した地盤は植物の栄養吸収を妨げ、植物の生育を阻害します。pHは1~14で測られ、pH7を中性とし、pHが7より小さいと酸性、pHが7より大きいとアルカリ性となりますが、セメントは一般的に、pH12~13であり、低アルカリ性セメントでもpHは約11です。

 

近年、都市では緑化が進められていますが、セメント系固化材を使用した地盤では、セメント成分が徐々に土や土中の水に浸透していき、木々や草花の生育を阻みます。

六価クロムの溶出

セメント原料には自然由来の三価クロムという物質が含まれており、製造過程で原料を高温焼成する際、一部が六価クロムに変化します。六価クロムは土壌汚染対策法で特定有害物質に定められている発がん性物質です。通常、セメントの水和反応により固定化され、内部に留められている六価クロムですが、腐植土やロームといったセメントの固化を妨げる種類の土と配合すると、一部固化作用が十分に働かなかった箇所から六価クロムが溶出する恐れがあります。

 

そのため、六価クロムには環境基準値(0.05mg/ℓ)が定められており、地盤改良工事などセメントの使用による六価クロム溶出リスクのある場合は、規定された環境基準値以下に抑える必要があります。 

天然土による埋戻し技術「BFS工法」

BFS工法

当社では、上述したようなセメントによる地盤汚染問題を解決するため、天然土による埋戻し技術「BFS工法」を芝浦工業大学の地盤工学研究室と共同開発しました。BFS工法の最大の特徴はセメント不使用という点です。セメントは恒久的に強度を発揮できる便利な材料として多くの土木工事において使用されていますが、CO₂排出や地盤のアルカリ化、六価クロムの溶出など環境への負荷が大きく、問題視されています。当社の埋戻し技術BFS工法は、セメントなどの固化材を一切使用せず、天然土のみで埋め戻す環境に配慮した新技術です。

 

Point 01
天然土を用いた地盤環境保全
Point 02
杭孔の深さに沿った均一な埋戻し
Point 03
電気、ポンプ、プラントなどの設備不要
Point 04
養生期間が不要で工期短縮
Point 01
天然土を用いた地盤環境保全
Point 02
杭孔の深さに沿った均一な埋戻し
Point 03
電気、ポンプ、プラントなどの設備不要
Point 04
養生期間が不要で工期短縮
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既存杭引抜き孔などの狭隘な空間に天然土を投入し、専用ドリルで強力に締め固めることで、天然の地盤により近い高品質な埋戻しを実現する工法です。

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